あるホテルのレストランでディナーをいただいたときのことである。メニューを見るときに使用した老眼鏡をそのままテーブルの上に置き忘れ、帰宅してしまった。間もなくホテルから電話が入り、「お届いたします」とのことである。こちらの方が恐縮し、「安物ですし、急ぎませんから、着払いでお送りくだされば結構です」と答えた。すると、翌日、私の老眼鏡はきれいなケースに収まって送られてきた。安物が高級品になって戻ってきたのである。
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しかも、ゆるかった留め金がしっかりと締まっていた。一方、これもあるホテルのレストランで目撃した出来事である。私の隣のテーブルで女性二人がにこやかに和朝食を楽しんでいるところに、彼女たちの友人が加わった。遅れてやって来た彼女も同じ料理を注文したのだが、ウエイトレスから品切れだと知らされた。洋風レストランなので、恐らく、和朝食は限定販売となっていたのだろう。が、彼女の落胆ぶりは、私の目からもはっきりと見て取れた。私の好きなホテルだけに、彼女がそのまま悪い印象を引きずって帰国しなければいいのだが、と心配したほどだった。